冬鴉

朝の街闇の残り火冬鴉

 

ー冬鴉

寒中に見る鴉をいう。ところどころ雪のある冬田の中を、鴉が餌
を求めて歩く。一、二羽で現れることが多く、なんとなく哀れで
親しみがわく。餌の無き、厳しい冬を生き抜く姿に惹かれるもの
がある。

 

木の如く凍てし足よな寒鴉 富田木歩

薬喰

言葉なく汗が語りし薬喰

 

ー薬喰

養生のため、栄養食を摂ること。古くは仏教の普及により肉食が禁止されていたが、寒中には薬と称して獣肉を食べた。鹿は美味なので特に好まれ、その鍋は紅葉の縁で紅葉鍋という。


手燈しの低き明りやくすり喰い 太祗

炬燵

炬燵出て風呂に入るも頰にあと

 

ー炬燵

切炬燵は炉を切った上に櫓を置き、炬燵蒲団を掛けてもちいる。置炬燵は炉の代わりに昔は炭、炭団、豆炭などを燃料とする小火鉢などを入れたが今は電気炬燵がほとんどである。


住つかぬ旅のこゝろや置火燵 芭蕉