雪片

雪が降っている。

空気が冷たいけれど、風はまったくない。地面は雪に覆われていて、あたりは暗やみに満ちている。身体の感覚がほとんどない。服は雪にまみれていて、指先を見つめると、それはすぐにも取れてしまいそうだ。

見上げれば、雪の欠片が一つ、また一つと闇からと湧き溢れ、ゆっくりと舞い漂って、音もなく着地していく。雪の欠片はとても綺麗に見える。恐る恐る掌を闇に伸ばす、そして柔らかな雪片をぎゅっとつかんでみる。

言葉、に対するイメージを書いてみた。

言葉と聞くと、葉と書くように木を思い浮かべる。けれど、実際のイメージを書いてみると雪だった。木のように根を張り、太い幹に青く繫る葉というよりは、雪のように捉えがたく、つかんでもすぐに溶けてしまうもの、という方が近かったのだ。

雪は見る分にはいいが、それは窓からであって直接ではない。そしてそれは言葉にもあてはまる。つまり、読むことは好きだけれど、書くことはとても厳しい。ことの葉を拾って、繋げることで文章になるとすれば、雪の欠片を小さな手でつかんで、固めていくことが雪の場合の書くになる。雪の一つ一つをつかんでいくなんて、とても出来ない。

じゃあ、やらなければいいとなるけれど、本当にそうだと思う。窓から、安心して眺めるだけでいいじゃないかと思う。でも、ここで質が悪いことに、直接みる雪の綺麗さに魅せられてしまっている自分がいる。そしてどうしようもなく雪を捕まえる人になってしまうのだ。

今後、言葉のイメージがどのように変わっていくか、わからないものだけれども、とりあえず、しばらくの間、このブログで雪の欠片をつかんでいこうと思う。