シャンデリア

階段の踊り場にシャンデリアが吊るされていた。

シャンデリアは、燭台と蝋燭の形の電燈から出来ている。そこに白や赤色の玉が装飾されていて、光を透してキラキラときらめいていた。シャンデリアというものに詳しくないけれど、充分に豪華で綺麗だと思った。

階段を降りようと思って、足元を確かめる。手すりを掴んで、もう一度見上げると、シャンデリアは一つではないことに気づいた。

天井、階段の壁にシャンデリアの影がいくつも鮮やかに映っていたのだ。天井には鎖を中心に五つの影が広がり、壁には実物より何倍も大きな影が姿を現していた。その時はじめてシャンデリアというものを見た気がした。

階段の踊り場では頭上にシャンデリアがあって、少し動けば自分の影がみえる。影はたぶん、わたしの代わりにずっとシャンデリアの影を見届けてきたのだろう。そこでひとつ、つぶやいてみる。

 

「君に、このきらめくシャンデリアは見えてるの?」

 

 

 

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