丘と道
なだらかな傾斜に膝の高さぐらいの草が生えていて丘を緑色に覆っていた。一人用の狭い道が落書きの筆先のように曲がりくねって丘の向こうまで伸びていた。太陽は西に沈みはじめていて、道の脇に二つだけ並んだ木を透かしていた。地面には木漏れ日がまだらの模様を描いていた。
道を歩きはじめる。一本道を迷うことはない。けれど、この先二つに分かれているかもしれないし、途中でなくなるかもしれない。何かが待ち受けているかもしれない。にらむようにじっと見つめても曲がりくねった道は何を考えているのか分からない。光りあるうちに、時には立ちどまりながらも、その先へと歩いていく。
どこまで遠くへ行けるだろう。