気まぐれに好きな詩を載せる 「人間と海」

人間と海

 

自由な人よ、君は常に海をいとおしむだろう!

海は君の鏡、波の無限に揺れやまない繰り返しに、

君は自らの魂を映すだろう、

そして君の精神も、その苦さは深淵に劣ることはない。

 

君は好んで自らの影像に身を沈めるだろう。

両の眼と、両の腕とでそれを抱き締め、君の心は

時としてわれとわがざわめきから思いを逸らす、

抑えのきかぬ獰猛なこの嘆き声に耳をかたむけつつ。

 

君も海もともどもに、陰険で口が固い。

人よ、誰が君の深淵の奥底までを知るだろう、

海よ、君のひそかに隠す財宝を知る者はいない、

それほど一途に、君等は秘密を守ることに汲々としてい

る!

 

しかしながら数え切れぬ幾世紀このかた、

君等は憐れみも悔いもなく闘い続ける、

さほどに君等は殺戮を、死を愛する、

おお永遠の闘技士たちよ、おお情容赦なき兄弟たちよ!